新駒奈日誌

Minecraftの建築に関する情報をよろずに書いていく。

【Minecraft】元ニコニコユーザによるMinecraft建築シーンの歴史(4/4)

  • 本項目は読み物です。筆者の恣意的な視点が混ざっていますのでご注意ください。
  • 本項目は日本国内、かつJava Editionについて扱います。海外とかの情勢はおろか、Pocket Edition(現在の統合版)における歴史とかはあまり追っていません。そこら辺の歴史を知っている人は是非自分で書いてもらいたいくらいです。

4.統合版の時代 2018年~2023年現在 (Ver.1.12~現在)

4-1. 建築コミュ主導の時代 2018年後半~2020年前半 (Ver.1.12~Ver.1.15)

Ver.1.13とVer.1.12永住

2018年後半に入ると、海関連や樹皮を剥いだ原木等大きな更新があるVer.1.13が誕生します。しかし、ここで大きな問題が起きました。ブロックの管理方法が変更され、第2章で紹介したブロックIDとメタ番号の概念が完全に廃止されるときが来てしまいました。そのため、既存のMODの多くは現在までVer.1.12でのリリースとなり、永住の原因となっています。なんなら、一部のMODの影響で未だに1.7から抜け出せない人までいます。このように、Ver.1.7とVer.1.12とその次のバージョンの間は大きなバージョンの壁があります。

2019年には階段や柵、村に関する項目が大幅追加されたVer.1.14もリリースされます。蜂に関するアップデートがあるVer.1.15もありました。バニラもだいぶ表現が豊かになってきました。

ワンクラが終わってしまったりしてTwitter建築の賑わいこそ若干薄れましたが、この頃はMinecraft建築コミュニティが勢いを取り戻しました。

建築コミュニティの活発化

この時代、Minecraft建築コミュニティはメンバーの入れ替え、運営の負荷軽減策、Youtubeチャンネルの誕生もあって、積極的に勉強会やコンテストが開催されます。ニコニコの衰退から打って変わって、賑やかさが少し取り戻された時代です。建築技術もかつてのニコニコの時代を超えるレベルになっていきました。なお、建築コミュの運営による10周年振り返りではもう少しこの点が深掘りされています。

第2回の建築勉強会はバニラの洋風港町を題材として開催されました。昔の動画と比較すると、だいぶバニラのカラフルさが増したのがわかります。

続けて2019年初頭に久々のコンテスト、門コンテストが開催されました。こちらは交差点コンテストよりもう少し楽な100x100の範囲を作成するものでした。また、はじめてBedrock Editionでの応募も受け付けるコンテストとなりました。

2019年末の第3回建築勉強会では前章で紹介したCocricotを使用したテーマパークを作成します。

Minecraft建築コミュニティによるこうしたイベントの他にも、2回目の城バイオーム企画が開催されるなどの出来事もありました。残念ながら完成PVが残っていないようです。

違法建築イベント

そして、2020年初頭に建築コミュニティでおそらく1、2を争う有名なイベント、違法建築イベントが開催されました。この様子はネットニュースになり、Minecraft公式にも取り上げられ、建築コミュどころか日本を代表する建築イベントにまで発展しました。2回目からは海外の建築勢も参加するような大イベントになります。

公式で取り上げられた時の様子: https://www.minecraft.net/ja-jp/article/ihou-kenchiku

MiniaTuriaの登場

おそらくこのシリーズで紹介する最後のメタテクスチャ、MiniaTuriaが2020年に誕生します。カラフルな表現と近代的建築が得意なテクスチャでです。ただ、この時期はすでに3Dリソースパックの流れが来ていたため次の3D建築MODとしてのリリースまで期間は短かった印象です。

メタテクスチャ版時代の有名な動画としては、はぎさん&なかはまさんによる以下の動画があります。

観覧車MOD

様々なブロックに多彩な動きを与える観覧車MODが2016年頃からありました。アップデートされると複雑な動きも可能になり、なんでも動かすMODと化しました。

特にこの時期、このMODを使って当時有名だったアニメ「けものフレンズ」の世界観を再現した方が現れました。再現度が高すぎて、同時投稿されたYoutube動画がアニメ本編と認識されて一時BANされてしまう事件も起きました。

MinecraftとYoutuber

一方その頃、Youtuberの世界はだいぶ盛んになります。今ではMinecraft分野で非常に人気のあるYoutuberグループ、ドズル社による「ドズクラ」がこのころから動画を投稿するようになります。最近はワールド作成者を文字通り求人したりするなどもしていたようです。

今で言うVTuberの概念もできて、雨後の筍のように次々と誕生した時代です。こちらは通常のYoutuberとは異なる発展の仕方をしました。ニコニコの文化を起源とし、当時出たばかりのYoutube Liveによる配信形式が主体となった点です。若干お騒がせなところはありますが、コンテストに出たり、WorldEditを使いこなすなど高い建築スキルを持つ方も現れています (筆者が別件で既にレポートしているため、ここでの紹介は割愛します)。

4-2. コロナとグローバル化の時代 2020年後半~2021年 (Ver.1.16~Ver.1.18)

猛烈なバージョンアップとLog4j事件

2020年以降はもう筆者より読者の方がいろいろ詳しい時代でしょう。動画の紹介より、簡単なトピックの紹介に留めます。

コロナ禍真っ只中ですが関係ありません。Minecraftはまるで特定バージョン永住者を突き放すかのように猛烈なアップデートをしました。Ver.1.16ではネザーが大きく変わり、少しおどろおどろしいブロックが増えました。そしてVer.1.17+Ver.1.18で高度限界が大きく上昇します。あべのハルカスも1ブロック1メートルで再現できる高さです。

また、2021年末にはLog4j事件(補足1)が起きました。これにより、セキュリティの都合上Ver.1.12よりも前のバージョンの使用が難しくなり、永住していた方が新しいバージョンへの移住を余儀なくされることとなりました。

補足1: Log4j事件
  • Minecraftで使用されていたJavaのログ出力ライブラリ「Log4J」で重大すぎる脆弱性が見つかった事件です。特にマルチサーバを立てると、外部から意図的にクラッシュさせたり悪意のあるコードを実行できるものでした。影響がMinecraftのみならずあちこちに出たため、世界中でニュースになりました。記憶にがある方もいるでしょう。

建築MODの誕生

海外ではConquest Reforgedが早い段階で誕生していましたが、国産の3D建築MODもいよいよ誕生します。特に数千ものブロックを追加して、建築MODの主流となった2つを紹介します。これらは、前節で説明した理由によりVer.1.12のリリースとなりました。

2020年8月にCocricotの3D版が誕生しました。海外では「Minecraftを変えるMOD」として紹介された例もあったようです。

2021年にはMiniaTuriaも3D版がリリースされました。かわいいテクスチャでもこちらも好評です。同時期に投稿されたはすっこさんの現在の動画シリーズもこの頃から開始しています。

デフォルト回帰

建築MODが誕生する一方で、まるでルネサンスでも起きたかのようにデフォルトテクスチャによる建築が見直されました。Twitterハッシュタグ「バニラ建築学部」が作られたのもこの頃です。統合版建築勢の増加による再現性の高い建築が求められたこと、そしてデフォルトテクスチャがもはや十分揃い、わざわざリソースパックを使う場面も減ったことが影響していると思います。

特に象徴するイベントが、Crocsがスポンサーとなった世界同時コンテスト「BUILD YOUR LIFE IN COLOR」でしょう。他の海外建築コンテストと違い、パッカーさんが審査員となったことからか多くの日本の建築勢も参加しました。当時の様子は動画の記録があります。

Minecraft公式によるコンテスト

Minecraft公式によるコンテストも開催されます。ただし、建築コミュのようにノウハウがあったわけではなく、1回目には著作権に関する規約の不備があったりいろいろ問題になりました。ただ結果的には盛況で終わりました。2回目はnoteとの共同開催で実施され、筆者だったりVTuberの方だったり参加しています。

Minecraft公式でなくても、Twitterで独自のコンテストを開いたりとちょっとコンテストもありました。

さらに気軽なイベントを求めて

Minecraft建築コミュもまだどんどんイベントが開催されています。

2020年中頃の第4回建築勉強会では和風と紅葉の街並み、2021年9月の第5回建築勉強会では先に登場したMiniaTuriaを使った南国リゾートを作ったりしました。

この時期に開催されたコンテストとしては道コンテストがありました。よりBedrock Editionを使った方が投稿しやすいように、Twitterの画像投稿形式で開催されたコンテストです。筆者が参加できなかった数少ないイベントなのが悔やまれる。作品一覧はモーメントに載っています。

Twitterモーメント: https://twitter.com/i/events/1242092505438367750

また、コロナ禍の世相を反映してかオンライン飲み会が開催されたり、さらに気楽なイベントを求めて一本道クラフトのようなイベントも開催されました。

4-3. そして建築コミュ10周年へ・・・2022年~2023年現在 (Ver.1.19~)

建築コミュの10周年

このころ、Minecraft建築コミュニティは10年を迎えました。

2022年初頭には坂道と同様にスクリーンショット形式のコンテスト、雪景色コンテストが開催されました。自分の表現したい手段で、デフォルトテクスチャでもMODありありでも様々な形式の作品が投稿されたことが印象的です。また、第6回建築勉強会では日本の昭和時代のような夕涼み風景を作成したりもしました。

雪景色コンテスト: http://blog.livedoor.jp/mc_kenchiku_com/yukigeshiki_result

そしてとうとう、Minecraft建築コミュが10周年となりました。トイレコンテスト再来です。ここまで記事を読んでくださった方には、告知動画の壮大さに感慨深いものがあるでしょう。

トイレコンテスト: http://blog.livedoor.jp/mc_kenchiku_com/10th_Toilet_Contest_Result

To Be Continued...

そして、本記事を書いている時点の最新バージョン、Ver1.19が登場します。マングローブの木材は筆者も早速お気に入りの建材になりました。現在もMinecraftは猛烈にバージョンアップを重ねていますし、建築コミュニティもまた新しい進化の時代を迎えています。

近頃は前提MODがMinecraft ForgeではなくFabricが主流になりつつあります。建築MODのConquest ReFabricatedもついこの間誕生しました。一方、Twitter投稿イベントMiniaTuriaChallengeもこの記事書いたあとで作りましょうかね。違法建築イベントの第4回目もまもなくです。

あとがきと未来に向けて

ここまで記事をご覧いただきありがとうございます。当時のニコニコ老人会の視点から、長くMinecraftの建築シーンを見てきました。散々述べているように、昔は昔、今は今の建築シーンの良さがあります。なによりMinecraftがバージョンアップを重ねすぎて、昔有用だったテクニックは今では使えなかったり、逆もしかり。また現在は忙しい時代ですから、じっくり腰を据えた動画よりかはサクッと見れるTwitterや動画のほうが良かったり、時代ごとの建築シーンもあります。

ここで取り上げた作品はできるだけその時代の建築シーンを象徴するようなものを選んでみましたが、ここに出ていない動画も多分たくさんあるでしょう。特に昔の動画を探す場合はニコニコ動画で「Minecraft建築部」とタグ検索してみて、当時の時代に思いを馳せるのも悪くはありません。

しかし、すごいものばかり見てきたからと言って自分を卑下する必要はありません。人には人の、デフォルトもMODも、クリエイティブもサバイバルも、建築様式も、それぞれ違った建築の良さがあります。私は他のすごい建築勢にはなれませんし、他の人もまた私にはなれません。そうして筆者コマナズは幾ばくも失敗しつつも自分の建築を貫いてきた自負はあります。

最後に、筆者が尊敬するにえべさんがはるか昔に言った言葉を引用して締めくくります。

「私にはできない」ではなく、「いつかできるようになるといいな」と思いながら建築を鑑賞しなさい・・・と。